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不当解雇されたときにまず知っておくべきこと




「不当解雇された!」と思ったときに、慌てて不用意な行動をして後で後悔しないために、まず知っておいて頂きたいことをまとめてみました。

不当な「解雇」なのかをよく考える

「不当解雇をされたんですが」というご相談をお受けする中では、結構な割合で「これは解雇されたといえるのだろうか・・・」と思うケースがあります。つまり、会社からの求めに応じて不本意ながらも自分から退職しただけのように思えるケースです。

会社から労働者に対して、単に「自主退職してほしい」という希望を伝えること(退職勧奨)自体は特段違法なこととは言えません(もちろん、方法等によっては違法となります。詳しくはこちら→退職勧奨(退職勧告)が違法となるとき~退職届けを出す前に知っておきたいこと

このような会社からの単なる退職勧奨に対して、自分から辞めることを選択して退職届けを出したということになると、後に解雇が無効だと主張しても、会社からは「自主退職しただけで会社は解雇などしていない」と反論されてしまいます。(実際に解雇なのか自主退職なのかが争いになってしまったケースについて知りたい方はこちらをご覧ください≫解雇と自主退職の境界~「辞める」と口にする前に知っておきたいこと

したがって、「不当な解雇がされた」と思ったときは、まずは、本当に解雇されているのかを落ち着いて良く考えてみて頂きたいと思います。

解雇ではなく契約期間満了による「雇い止め」という場合もありますが、この点については次の記事をご覧ください。
契約社員の雇い止めは許されるか

契約社員の雇い止めは許されるか

2012.03.14

退職届けは出さない/不用意に決めつけない

たとえば、本当は辞めたくないのに自分から退職届けを出してしまうというのは最も避けるべきことです。

退職届けを出してしまったという場合も、「錯誤で無効である」とか「脅迫によるものだから取り消す」といった主張ができないわけではないのですが、法律上いろいろと難しい問題があります(詳しくはこちら→退職届けは撤回できるか?)。

したがって、まずは退職届けを出さないこと、そして、自ら辞める意思はないことを明確にすることが大切です。

また、思い込みで「解雇された」と決めつけ、出社しなくなるというのも非常に危険です。後で会社から「自分から辞めただけ」と言われてしまう材料になりかねません。きちんと働く意思があることを示し、「働く意思はあるが、会社が出社を拒否しているのでやむを得ず働けない」という状態であることを明確にしておきます。

解雇なのか、そうでないのかをはっきりさせるための一番手っ取り早い方法は、解雇通知を書面の形で会社から出してもらうことです(後で説明する解雇理由書の交付とともに求めるのも一つの方法です)。

口頭で「クビだ」「もう来なくて良い」と言われた時には、「解雇ということでしょうか。解雇であれば書面の形で示してください」とはっきりと求めましょう。

これに対して会社が「解雇ではない。退職してくれと言っているだけ」というのであれば、きっぱりと退職意思がないことを示せば足りることになります。

退職勧奨について詳しくはこちらもご覧ください。
退職勧奨が違法となるとき~退職届を出す前に知っておきたいこと

退職勧奨(退職勧告)が違法となるとき

2011.12.07

不当解雇かを判断するために・・・解雇理由を明確にさせる

解雇であるのは明らかであるという場合に、次にしなければならないのは解雇の理由をはっきりさせることです。具体的には、会社に対して解雇理由証明書の交付を求めることになります。

解雇理由証明書とは、どのような理由で解雇となったのかを会社に明示させる書面で、労働基準法22条において、会社は労働者が請求した場合にはこれを交付することが義務づけられています。

重要なのは「労働者が請求した場合には」という点です。つまり請求しなければ会社に交付義務はありませんので、何はともあれ、会社に対して解雇理由証明書の交付を請求しましょう。

すんなり出してもらえない場合の対処についてはこちらの記事をご覧下さい。
解雇通知書を渡された時にまずしなければならないこと

解雇通知書を渡されたらすべきこと

2011.12.19

不当解雇なのか

さて、解雇理由がはっきりしたら、次は、その解雇理由が、不当なのかどうかを考えることになります。

解雇が有効となるためには「客観的合理的理由」と「社会的相当性」が必要です(労働契約法16条)。したがって、このような「客観的合理的理由」や「社会的相当性」が欠ける解雇は、「不当な解雇」といえることになります。

そのほかに、「労災で休業期間中」など、法令上、解雇が制限されている場合もいくつかありますので、こうした場合に該当しないかを検討することになります。詳しくはこちらをご覧ください。
解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~

解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~

2011.12.13

解雇理由としてよくあるのが、「成績不良や不適格」ですが、ここでのポイントの一つは、解雇に至るまでに「段階を経たか」という点です。改善の機会が与えられることもなくいきなり解雇を行うことは許されないといえます。(具体例はこちら≫成績不良・適格性欠如と解雇~あなたは成績が悪いから辞めてもらいます!?

懲戒解雇の場合

ここまでは、解雇のうち、いわゆる「普通解雇」を前提に書いてきましたが、これとは異なり「制裁」として行われる解雇、つまり「懲戒解雇」もあります。

懲戒解雇については、制裁として課されるものであることから、普通解雇とは異なり、これが有効となるためには、一層厳格なハードルが課されます。

懲戒の対象となっている行為の性質や態様などに照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、懲戒権の濫用として無効となります(労働契約法15条)。

就業規則の懲戒解雇事由に該当するかどうかは厳格に判断されますし、仮に該当するという場合でも、二重の処罰になっていないか、罰として重すぎないか、弁明の機会が与えられたかなどといった観点から、有効性をチェックすることになります。

懲戒解雇が有効となるための条件について詳しくはこちらをご覧ください
懲戒解雇とその理由~懲戒解雇されたときに知っておきたいこと

懲戒解雇とその理由~懲戒解雇されたときに知っておきたいこと

2012.06.19

不当解雇の争い方を知る

やっぱり不当な解雇だ!となった時に考えなければならないのは、では、それをどう争うのか、という点です。

原則的には、「元通りに職場で働かせよ」と主張していくことになるのですが、場合によっては「解雇は争いたいけれど、こんな職場ではもう働く気になれない」という場合があります。

そうすると、損害賠償(慰謝料)請求を行うことを考えることになりますが、不当解雇で損害賠償請求が認められるためには、単に解雇が無効というだけではなく、悪質性が高いかどうかという一段高いハードルが課されてしまう点に注意が必要です。この点について、詳しくは次の記事をご覧ください。
不当解雇の無効主張と損害賠償請求

不当解雇の無効主張と損害賠償(慰謝料)請求

2012.01.27

他の仕事をしていいか

不当解雇の効力を争っている間に、別の仕事をしていいかということもよく聞かれます。

どのような手続きで解雇の効力を争うにしても、結論がでるまで一定の期間が必要です。その間、本来の職場で働きたくても会社が解雇を主張して働かせてくれないのですから、生活のために別の仕事をするということは一向に構いません。

二重に給料をもらえるか

ただし、最終的に受け取れる給料に関して注意が必要な点があります。

解雇の無効が認められた際には、それまで支払いを受けられなかった元の会社からの給料の支払いが受けられます。(その間、元の会社では働いていませんが、働けなかったのは会社が解雇を主張して働かせなかったことが原因なのですから、働いていない期間の給料ももらえるのです)

もっとも、別の仕事について給料を受け取っていたという場合には、新しい仕事で得られた給料と元の給料とを完全に二重に取得できるわけではありません。

少し理屈は難しくなりますが、解雇の効力を争っている間に別の仕事をして得た給料は、解雇の言い渡しがなければ得られなかったはずの収入です。

そのため、解雇の無効が認められ、本来の給料について支払いが命じられる際には、そこから新しい仕事によって得た給料分が差し引かれることになるのです。

例えば、元の給料が25万円で、解雇の言い渡し後に、生活のためにアルバイトをはじめ8万円稼いでいたという場合は、25万円-8万円=17万円の支払いということになります。

6割は支払いを受けられる

もっとも、この控除も無制限になされるわけではありません。

法律上、会社の責任で休業する場合は、平均賃金の6割の休業手当を支払わなければいけないとされています(労働基準法26条)。そして、無効な解雇が行われた場合もこの「会社の責任で休業する場合」にあてはまります。

そのため、新しい仕事によって得られた収入がどれだけ多くても、会社は平均賃金の6割分は必ず支払わなければならないのです。

まとめると、

  1. 不当解雇の無効が認められた場合には、元の会社から給料の支払いが受けられる
  2. その際、その間に別の仕事について給料を得ていた場合には差し引かれる
  3. ただし、②の控除にも限度があり、元の給料の平均賃金の6割は支払いが受けられる

ということになります。

会社が無効な解雇を主張しているせいで仕方なく他の仕事をしているのに、その給料分が控除されてしまうというのはなんとなく釈然としないかもしれませんが、裁判実務上、上記のような扱いが確立していますので、解雇の効力を争っている間に新しく仕事をする際にはこれを念頭に置いて頂く必要があります。

不当解雇を争う手続きについて

実際に裁判所に持ち込むかはともかく、不当解雇の争い方としてどのような手続きがあるのかも押さえておきたいところです。いわゆる裁判(本訴)の他に、仮処分や、スピードを重視して解決をはかる労働審判という手続きもあります。

スピードを重視して解決を図るのか、あるいは、復職を求める気持ちがどこまで強いか(場合によっては金銭補償で満足できるか)等によって、とるべき手続きは変わってきます。この点について、詳しくはをご覧下さい。
労働審判とはどのような手続きか

労働審判とはどのような手続きか

2012.01.17

これら裁判所を用いる手続きをいきなりとるのではなく、まずは弁護士を代理人とする交渉(話し合い)によって解決を図る方法も、もちろんあります。

もっとも、こうした話し合いでの解決を目指すことが有効かどうかは会社の姿勢にも大きく関わってきます。会社が解雇にこだわる強硬な姿勢を変えないという場合には、交渉で時間を使うよりも、かえって労働審判や訴訟等の手続きを用いた方が解決が早いという場合もあります。

併せて知っておきたい

解雇予告がされたという場合は、解雇予告の意味や解雇予告手当の意味についても一通り理解しておきましょう。この点については以下の記事を参照して下さい。
解雇予告をされたら知っておきたいこと
解雇予告手当が必要な場合とは?
即時解雇が許される場合とは

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