不当解雇をされたけれど、どこに相談すればいいか分からない、そんな方は多いと思います。
不当解雇について適切に対応するためには、素早い行動が大切ですが、相談の入り口の段階でつまづくことがないように、適切な相談先を見極めることも大切です。
ここでは不当解雇の相談先と相談する際に気をつけたいことについて解説していきます。
納得がいかない、でもどうすればいいか分からない・・・そんな時は、専門家に相談することで解決の光が見えてきます。労働トラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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労働基準監督署
不当解雇された場合の相談先として、まず、真っ先に思い浮かぶのが労働基準監督署だと思います。
労働基準監督署には総合労働相談コーナーが置かれ、社会保険労務士さん等が相談に応じてくれます。費用もかかりませんし、解雇を巡る問題について法律上どうなっているのかを全般的に知るには良い相談先です。
ただし、不当解雇を巡る相談については、やや微妙な問題もあります。
解雇を巡る争いでは、多くの場合、解雇を正当化する「客観的合理的」や「社会的相当性」の有無が問題となります。(参考:解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~)
ところが、「客観的合理的理由」や「社会的相当性」の有無は、形式的に簡単に判断がつくものではないため、不当解雇された方が、どんなに「不当なのは明らか」と訴えても、労働基準監督署が「その通りですね」といって会社を指導してくれるような展開は期待出来ないのです。
したがって、例えば労災の認定を受けて休業している期間での解雇など、明らかに法律違反の解雇である場合(労災で休業中に解雇できないことは法律の明文で定められています)を除いて、労働基準監督署が是正のために動いてくれることを期待して相談に行かれると、期待外れとなる可能性が高いので注意が必要です。
あくまでも解雇を巡る全般的な疑問について知識を得るためと考えて利用することをお勧めします。
労働組合
相談先の一つとして、労働組合もあります。
勤務先の会社に労働組合がない場合もあると思いますが、個人単位で加入する合同労組もあり、様々な労働組合が相談窓口を設けています。
解雇を巡る争いは、本来的には、法律に照らして解雇が無効であることが明らかになれば足りるというものではなく、その後の復職が順調に行われるためにも、不当解雇が行われるような職場環境の改善等まで含めて行わなければ真の問題解決にはなりません。
その意味でも、労働組合は心強い支援者になります。また、とりわけ、整理解雇の場合には、個々バラバラではなく集団的に闘う意味がより大きくなります。
ただし、労働組合といっても、千差万別、色々な性格の組織がありますので、あらかじめよく情報収集をする必要があります。
弁護士
不当解雇について、具体的に何かしらのアクションをとることを考えているのであれば、弁護士のところに相談に行くのが話は早いと思います。
問題はどうやって相談先を見つけるかですが、まずは、知り合いに、弁護士とのつながりがないかを聞いて紹介してもらうというのが、王道ですが試みる価値のある方策です。どんな弁護士か、あらかじめ直接的な情報を得られるというのはやはり心強いです。
そういったつながりがないという場合は、一般的に探すことになりますが、例えば知られているところでは、法テラスの相談窓口などがあります。また、各都道府県の弁護士会が相談窓口を設けていますので、お住まいの地域の弁護士会のサイトを確認してみるのも有益です。
ただし、こういった相談窓口は、弁護士が輪番で担当していますので、どのような弁護士にあたるかは全く分からないという側面はあります。
相談にあたり準備しておいた方が良いこと
まずは、客観的な資料をできる限り準備し、持参することです。既に手元にある資料だけでなく、すぐに入手可能な資料もできる限り入手するようにしてください。
例えば、解雇通知書や、解雇理由証明書、就業規則、会社のパンフレット、組織図、雇用契約書、雇用条件通知書、給与明細などです。
解雇理由書や就業規則についてはこちらをご覧下さい。
▼解雇理由証明書とは何か~請求方法からもらえない場合の対応まで
▼就業規則の変更と周知のルールについて
さらに、これまでにあった出来事の要点を、日付を特定しながら、時系列順に書き出しておくとスムーズに相談することができます。
それを見ながら話すことで、話し忘れを防ぐことも出来ますし、自分の頭を整理することもできます。
これは必ず聞いておきたいという質問事項も、あらかじめリストアップしておきましょう。
相談の際に気をつけた方が良いこと
相談の際には、事前に準備したメモを見ながら、順番に事情を説明することになります。その際、注意したいのは、自分に不利益となるかもしれない事実についてもきちんと伝えておくということです。
とりわけ弁護士の場合は、相談者にとって不利益な事実も考慮した上で、どう進めれば相談者にとって利益となるのかを考えてアドバイスをします。そのときに、一部の事実が抜け落ちてしまうと、結果として当を得た解決を提示することが出来なくなってしまうのです。
適切な解決を探るためには、有利なこと、不利なことを含めて前提事実をきちんと共有することが不可欠です。相談の際には、自分に不利益な事実を伝え忘れていないか、確認してみることをお勧めします。
不当解雇かどうかの判断基準について知りたい方はこちらをご覧ください。
▼解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~
懲戒解雇についてはこちらをご覧ください。
▼懲戒解雇理由~どんなときに懲戒解雇が許されるか
その他、不当解雇されたときに知っておきたいことは以下の記事にまとめています。
▼不当解雇されたときにまず知っておくべきこと
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そんなとき、今後の行動を考える上で、実際の裁判例で解雇の効力についてどのような判断されているのかを知ることは大変役立ちます。
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