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懲戒解雇とその理由~懲戒解雇されたときに知っておきたいこと




懲戒解雇とは何か~普通解雇との違い

「会社から解雇されそう(解雇された)!」などというときに、それが「普通解雇」なのか、それとも「懲戒解雇」なのかを意識することはあまりないかもしれません。

しかし、懲戒解雇と普通解雇は質的に大きく異なるものですので、両者の違いをしっかり意識する必要があります。

懲戒解雇というのは、懲戒、つまり特定の行為に対する「制裁」として行われる解雇です。

懲戒には減給や停職など、様々な種類がありますが、その中で一番重いのが懲戒解雇です。

これに対して、普通解雇は、別に労働者に「制裁」を与えるためではなく、成績不良や適格性の欠如等を理由に雇用契約を終了させようとするものです。

この後に説明するように、懲戒解雇は厳格な制約を受けるため、会社がいったん懲戒解雇としながら、あとで「やっぱり普通解雇にする」と主張する場合もありますが、そんなことが許されるのかについては、次の記事を参考にしてください。
懲戒解雇をあとから普通解雇にすることは許されるか

懲戒解雇をあとから普通解雇にすることは許されるか?

2018.02.05

有効な懲戒解雇となるための要件

普通解雇についても客観的合理的な理由や社会通念上の相当性がなければ無効となる(労働契約法16条)という制約がありますが(詳しくはこちらをご覧ください≫解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~)、懲戒解雇も「制裁」として行われるという観点からの制約が働きます。

労働契約法15条は、会社が労働者を懲戒する場合について

当該懲戒が、懲戒にかかる労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的合理的理由を欠き、社会通念上相当と認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は無効とする

ことを定めています。

つまり、客観的合理的理由がない場合や社会通念上相当と認められない場合には、懲戒に効力が生じない(無効)とすることによって、労働者に不利益が生じないよう保護を図ることを明文化しているのです。

このように懲戒解雇は、あくまでも「制裁」として行われることから、これが有効となるためには、いくつかの条件があります。

就業規則による定めと周知

例えば、まず、会社が労働者に対して懲戒処分を下すためには、どのような場合にどのような懲戒がされるのかが、あらかじめ就業規則に定められていなければいけません。

また、その就業規則の内容は労働者に対して周知されていなければいけません。
周知がされていない、という場合には、そもそも会社に懲戒権がないものとして、懲戒解雇は無効になります。

就業規則の意味と効力について、詳しくは以下の記事をご覧ください。

就業規則の変更と周知のルールについて

就業規則の変更と周知のルールについて

2014.11.26

二重処罰の禁止

また、同じ事由について一度懲戒処分を下したのに、これについて、後日再度懲戒処分を下すということは、二重の処罰が行われることになりますので許されません。

処分のバランス

さらに、どのような行為に対してどのような処分が下されるかということはバランスがとれていなければなりません。同じことをしているのに、人によって処分が異なるということも許されません。

処分の重さの問題については、次の記事で詳しく説明しています。

その懲戒処分は重すぎる?~始末書の不提出と出勤停止(停職)処分

始末書の不提出と出勤停止(停職)処分~その懲戒処分は重すぎる?

2018.01.17

弁明の機会

処分を下す際には、本人に十分な弁明の機会が与えられる必要があります。

この点について詳しくは以下の記事をご覧ください。

弁明の機会のない懲戒解雇は有効か

弁明の機会のない懲戒解雇は有効か

2018.03.24

これらの原則に照らして、懲戒処分が懲戒権を濫用したものと認められる場合は、懲戒処分に効力は認められない(無効となる)ということになります。

したがって、「懲戒解雇された」という場合には、まずはこういった観点から有効な懲戒解雇なのかをチェックすることが有用です。

懲戒解雇を争いたいという場合は、どう争うのかという点も重要です。この点については次の記事を参考にしてください。
不当解雇の無効主張と損害賠償(慰謝料)請求

懲戒解雇の有効性が争われた裁判例から

ところで、懲戒解雇事由に該当するかどうかを判断するにあたって、就業規則に記載された懲戒解雇事由の意味内容が安易に広く解釈されたりすると、処分を受ける従業員の身分は非常に不安定になってしまいます。

懲戒解雇が、従業員としての身分を失わせるという非常に重い処分であることからすれば、懲戒解雇事由の意味内容を解釈するにあたっては、安易にこれを広げる解釈は許されるべきではありません。

具体例として、この点について触れた近時の裁判例(平成25年6月21日大坂地方裁判所判決)をみてみたいと思います。

懲戒解雇理由の解釈方法

この事案は、業務上使用するパソコンに接続して使用していたハードディスクを自宅に持ち帰った従業員が、「会社の業務上の機密及び会社の不利益となる事項を外に漏らさないこと」という服務規定に違反するとして、懲戒解雇されたケースです。

ハードディスク内には、取引先の社名、担当者名、連絡先、交渉経過のメモ、受注数量、単価等の情報が入っており、会社は、ハードディスクを自宅に持ち帰る行為は、このような情報を外部に流出・頒布する危険性を著しく増大させる行為であって「外に漏らさないこと」に違反する行為であると主張していました。

しかし、裁判所は、ハードディスクに保存された情報が外部に流出したことは確認されていない以上、自宅に持ち帰った行為自体が「会社の業務上の機密・・・を外に漏らさないこと」に該当するとは言えないと判断しました。

会社は「ハードディスクを持ち帰る行為は、情報を外部に流出する危険性を著しく増大させる」のも主張してましたが、この点についても裁判所は次のように指摘しています。

・懲戒解雇事由の解釈については厳格な運用がなされるべきであり,拡大解釈や類推解釈は許されない

・情報が外部に流出する危険性を生じさせただけで「情報を外に漏らさないこと」という服務規律に違反したことと同視することはできない

懲戒解雇事由の安易な拡大・類推解釈が許されないことを示す例として、参考になる裁判例です。

似たような例として次のような例もあります。

懲戒解雇事由に該当するか~「名誉または信用を害した」の意味

懲戒解雇事由に該当するか~「名誉または信用を害した」の意味

2018.02.21

懲戒解雇された/されそうというときには・・・

普通解雇にするという場合にも、客観的合理的理由と社会的相当性が必要になります。この点について詳しくはこちらをご覧ください。
解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~

また、懲戒解雇が嫌なら自分から辞めるように迫られるというのはよくあるケースです。そんな立場に置かれた方には以下の記事が参考になると思います。
退職勧奨が違法となるとき~退職届けを出す前に知っておきたいこと
解雇と自己都合退職(自主退職)の境界~辞める前に知っておきたいこと

退職するかどうかを考えるにあたって、懲戒解雇されたら退職金はどうなるのか、再就職は出来るのか、失業保険はどうなるのか等といった心配が浮かんできます。これらについては以下の記事をご参照ください。

解雇や懲戒解雇時の退職金はどうなるか
賞罰の意味~履歴書に前科前歴を書く必要はあるか
懲戒解雇時に給料/失業保険はどうなるか

また、懲戒の場面では、会社から損害賠償を求められる場合もあります。会社からの損害賠償について知りたいという方は次の記事をご覧ください。

仕事上のミスを理由に会社から損害賠償請求されたときに知っておきたいこと

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