内部告発がどのような場合に保護されるのかについては、以下の記事で説明しました。
▼内部告発の保護~内部告発による解雇は許されるか
要点をおさらいすると、以下のとおりになります。
- 公益通報者保護法によって保護されるには様々な条件がある
- もっとも、公益通報者保護法によって保護されなければ全く保護されない訳ではない
- とはいえ、法的に保護されるためには、一定の客観的根拠の有無や目的、方法という観点から一定の制約がある
ここでは、これを踏まえて、内部告発をどのような方法で行うべきかを考えてみたいと思います。
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客観的根拠を集める
まず、大前提として必要となるのは、内部告発をする内容が真実であることについて、きちんと調査をし、客観的な根拠に基づいて確認をすることです。
客観的な根拠があるのかどうかは、内部告発を受けた相手先がどこまで本気でその問題に取り組むかにも影響します。また後々に自分の身を守るためにも、客観的な根拠資料(証拠)を収集しておくことは大切です。
もちろん、調査や根拠資料の収集といっても一定の限界はありますが、可能な調査や証拠集めもしないまま主観的な思いだけで行動することは避ける必要があります。
組織が設置した通報窓口を調べ、利用する
次に、告発を行う相手先をよく考えましょう。
現在では、多くの企業(組織)が、組織内に通報窓口を設けたり、外部に独立した通報窓口(例えば顧問弁護士事務所など)を設けるなどしています。
所属する組織にこうした相談窓口として何があるのかをよく調べ、まずはその相談窓口に対して、相談する(通報する)ことを考えてみてください。
もちろん、こうした通報窓口に相談しても、「どうせまともに動かない」と予想される場合もあると思います。
それでも、まずはこうした通報窓口を利用してみて、「通報したが何も機能しなかった」という経緯を経ておくことによって、後で出てくるような外部の告発先(行政機関やマスコミなど)を利用する際に、その必要性を容易に説明出来ることになります。
したがって、内部の通報窓口の利用により直ちに重大な不利益を受けてしまうとか、時間的に間に合わないなどの事情があれば別ですが、そうでないのであれば、まずは、組織内の通報窓口等を利用することを考えてみてください。
その際には、通報の経緯が客観的に残る形で行うこともポイントです。書面で通知する、メールを出す等、後々まで通報の経緯が客観的に残る形で進めていきましょう。電話でやりとりをした場合にも、直後に、詳細なメモを残しておくと後で役立ちます。
外部の通報先を検討する
組織内の通報窓口が機能しない、あるいは、何らかの事情でこれを使えないという場合には、外部への告発を検討することになります。
具体的には監督権限をもった行政機関やマスコミなどへの告発です。
この場合も、必要性もなく無関係の相手先に告発をすると、単に組織にダメージを与える事だけが目的だったのではないか、などという疑念を持たれかねませんので、相手先をよく検討することが必要です。
なお、公益通報者保護法では、通報先として、労務提供先や監督権限のある行政機関以外の外部者については、「通報対象事実の発生や被害の拡大防止のために通報が必要と認められる外部者」という形で限定が図られている点にも注意が必要です。
行政機関については、どこに通報すれば良いか分からない場合には、消費者庁が設けている公益通報の通報先・相談先 行政機関検索が役立ちます。
内部告発にあたって注意すべき点
どのような通報先であれ、内部告発にあたって重要なのは、客観的な根拠も示しながら事情を整理し伝えることです。
複雑な事情が絡み合っていると、あれもこれもと色々なことを伝えたくなりますが、どのような事実がどのような意味で問題だと考えているのかを、根拠とともに端的に伝えることが大切です。
また、組織内部に設けられた通報先を利用したものの機能しなかったために外部の告発先を選んでいるような場合には、その経緯もあわせて説明すると、より必要性が伝わります。
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