業務命令が権利の濫用になるとして損害賠償義務を認めた例




職場におけるいじめ・嫌がらせ

学校におけるいじめ自殺の問題がマスコミを騒がせていますが、職場におけるいじめ・嫌がらせの問題も後を絶ちません。

私がこれまでに取り扱ったケースでは、直接的に暴力が振るわれるような、いわば分かりやすいいじめ・嫌がらせの事案もありましたが、職場におけるいじめや嫌がらせは、時に、業務命令や教育指導の名目で巧妙に行われる場合も少なくなく、問題はより陰湿になります。

業務命令の限界

たしかに、使用者は、労働契約に基づいて、労働者に対して業務命令を出すことができます。

しかし、当然のことながら、どんな業務命令も許されるということではありません。

ことさらに労働者に不利益を課すことを目的として業務命令が出されるような場合は、権利の濫用として不法行為が成立しうることになります。

見せしめを兼ねた懲罰目的でされたもの

例えば、平成8年2月23日最高裁判決は、JR東日本の保線(線路の保守業務を行う業務)区長が、国鉄労働組合の組合員に対して、作業中に組合の記章が貼られたベルトを着用したことが就業規則に違反するとして、就業規則の全文書き写しを命じたケースです。

この労働者は、実際に始業時から夕方まで、さらに翌日の午前中も就業規則の書き写しを行いました。

最高裁は、そのような業務命令は、見せしめを兼ねた懲罰的目的からされたものと推認せざるを得ず人格権侵害の不法行為が成立するとした原審の判断を支持して、会社からの上告を退けました。

職場は、時に学校と同様に閉じられた社会となり、分かりやすい形でのいじめや嫌がらせがされる場合も含めて、被害者がなかなか声を上げられないという事態が生じます。

当たり前のことではありますが、業務命令や教育指導に名を借りた人格侵害は許されない、ということがきちんと認識される必要があります。

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