結婚を機にされた退職勧奨が違法とされた裁判例

結婚を機に・・・

退職勧奨が違法と評価された近年の裁判例として平成17年10月21日東京地裁判決を紹介します。

これは、グラフィックデザイナーとして働く原告が、結婚を機に会社から不当な退職勧奨をされ、やむを得ず退職せざるを得なくなったとして会社や会社の代表者らに対して損害賠償等を求めた事案です。

結婚を機に退職を迫るなどというのは、一体いつの時代の話かと思うかもしれませんが、そう昔のケースではありません。

裁判所が認定した事実

裁判所が認定した事実によると、結婚をすることとなった原告が、社長等からの繰り返しの確認に対して結婚後も仕事を続ける意向を示したところ、社長が原告を社長室に呼び出し「せっかくの縁を大切にしなさい」、「人の思いやりが理解できないのか」、「結婚式に出られないかもしれない(なお、原告はこの社長に披露宴でのスピーチを依頼していました・・・)」など述べました。
 
さらに、後日、再度原告を社長室に呼んだ上で「原告は勘違いをしている」などと怒鳴った上、「脅迫されているみたいです」と述べる原告を、他の社員のいる執務室に連れ出し、叱責を続けたのです。

また、披露宴においても、社長は、スピーチの中で、家庭に入り、家庭を大切にするよう、デザイナーとして家庭をデザインし、家庭を作るということにもっと真剣に取り組むようになどと発言した、とされています。

披露宴でこんなスピーチをされた原告の気持ちは察するに余りある、と判決風に言ってみたくもなります。

退職勧奨が違法となる場合

さて、このような事実関係に対して、裁判所は、一般に、退職勧奨は、それ自体を直ちに違法ということはできないが

「合理的理由がなく、その手段方法も 社会通念上相当と言えない場合など、使用者としての地位を利用し、実質的に社員に退職を強いるものであるならば、これは違法と言わざるを得ない」

としたうえで、

① 本件の退職勧奨は,女性は婚姻後、家庭に入るべきという考えによるものであり、それだけで退職を勧奨する理由になるものではないし、

② また,その手段・方法も、一貫して就労の継続を表明している原告に対し,その意思を直接間接に繰り返し確認し、他の社員の面前で叱責までした上、

③ 披露宴においても、原告の意に沿うものではないことを十分承知の上で自説を述べるなどし,結局,原告を退職に至らせている

として、違法と結論づけました。

損害額等について

具体的な損害額としては、慰謝料について20万円とされています。

また、退職金の算定にあたっては、違法な退職勧奨によって退職したことからすると原告に本来退職の意思はなかったのであるから、自己都合での退職ではなく、「事業の都合により解雇する場合」に該当するとして算定すべきとされました。

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