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労災の休業補償期間中に退職する場合と退職後の労災




労災保険制度

働く人が、仕事をする上で怪我をしたり病気になったり死亡した場合について補償が行われる制度として、労災保険があります。

この労災保険制度の一つのポイントは、働く人が怪我をしたり病気になったことについて、たとえ会社に過失がない場合でも補償がされるという点です。

この点が、後で説明する会社に対する損害賠償請求の問題とは大きく異なります。

労災として認められれば、治療費はかかりませんし、治療のために働けない期間について「休業補償」という形で金銭が支払われます。

(ただし、少し細かい話になりますが、休業を開始してから3日間の休業補償については、保険からは支払われません。したがって、この部分については会社が独自に支払う必要があります。)

また、労災によって労働者が亡くなってしまったという場合には、遺族に対して年金あるいは一時金という形で補償が行われることになります。

なお、どのような場合に労災になるのかについては、次の記事も参考にして下さい。

飲み会・忘年会での事故は労災になるのか

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2012.09.04

勤務中の喧嘩で怪我した場合に労災になるのか?

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2012.08.26

休業補償を受給期間中に退職する場合

このように、健康保険と比較すると大変手厚い給付が行われる労災保険ですが、現在労災で休業補償給付を受けている方が退職を考える場合があります。

(なお、労災で休業中には解雇は原則として許されません。この点については、以下の記事をご覧ください)

労災で休業中に解雇は許されるか

労災で休業中に解雇は許されるか

2012.04.27

労災で受けた怪我や病気が重大なものであればあるほど「この職場では働きたくない」と考えるなどして、自分から退職を選択する場合もよくあります。

そんな時に「退職をすると、今もらっている休業補償給付はもらえるのか」と不安になる方がいるかもしれません。しかし、心配することはありません。

労災保険法は「保険給付を受ける権利は、労働者の退職によって変更されることはない」ことを明確に定めています。(労災保険法12条の5)

したがって、退職をしても休業補償は従前通りもらえます。金額ももちろん変わりません。

これは定年退職をする場合でも同じですし、期間満了で退職する場合も同じです。

退職後の休業期間については会社から証明をもらう必要はなくなりますので、退職日と退職した旨を記載して直接労働基準監督署に請求手続きを取ればよいことになります。

なお、自分から辞めてくれと迫られる場合もありますが、こうした退職勧奨については以下を参考にしてください。

退職勧奨が違法となるとき~退職届を出す前に知っておきたいこと

退職勧奨(退職勧告)が違法となるとき

2011.12.07

また、労災ではなく私病で休職しているという場合には、休職期間が満了したときに復職できずに解雇されることがよくあります。こうしたケースについては、以下の記事を参照してください。

休職期間満了時の解雇が許されるか

休職期間満了時の解雇が許されるか

2012.03.15

うつ病による休職・復職後の退職勧奨が違法とされた裁判例

うつ病による休職・復職後の退職勧奨が違法とされた裁判例

2014.09.09

会社に対する損害賠償請求と安全配慮義務

労災に関してよくご相談を受けるのが、会社に対して損害賠償請求ができるかという問題です。

冒頭でご説明したように、労災の認定においては会社に過失があるかないかは問題とされません。(会社に過失がなくても、業務上、怪我をしたり病気になったりすれば労災となります)

これに対して、会社に対して損害賠償請求をするためには、会社に過失があることが必要になります。

そもそも会社は雇用契約上の義務として給料を支払う義務を負っていますが、給料さえ支払っていれば良いというわけではありません。会社は、その他に、労働者が健康で安全に働くことができるように配慮しなければならない法的義務を負っています。これを安全配慮義務といいます。

したがって、単に、業務上、病気になったり怪我をしたというにとどまらず、会社に安全配慮義務違反があり、これによって病気になったり、怪我をしたという場合には、会社に対して損害賠償請求を行うことが可能です。

例えば、工作機械で指を切断してしまったという場合でいえば、機械の整備はきちんとされていたか、機械の本来の使い方とは違う使い方をさせていなかったか、機械の使い方についてきちんと教育や説明をしていたか、安全対策を十分に行っていたかなどが問題となります。

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退職後に労災手続きをとる場合

最後に、退職後に初めて労災申請をする場合についても説明します。

この場合も、退職したからというだけの理由で労災申請ができなくなることはありません。退職後も労災申請をすることは出来るのです。

退職後に労災手続きをしようとする場合は、まず最寄の労働基準監督署に行って必要な請求用紙を入手しましょう。

労災病院で治療費の負担なく治療を受けられる「療養補償給付」を得ようとする場合も、労災の治療のために働けない期間について補償を受ける「休業補償給付」を得ようとする場合も、会社から負傷・発病の年月日や災害の原因等について証明を受けることが必要となります。

具体的には各請求書に、事業主としての証明印を押してもらうことになります。

もっとも、退職後に労災申請をしようとする場合、会社が申請に協力してくれない場合が出てきます。

そもそも会社が労災であることを認めないような場合や、退職に至るまでに他の原因でトラブルになっているために協力が得られないというような場合です。

このようなときは、証明を得られるように会社にお願いをしたが協力を得られなかった旨を説明するとともに、証明印のないまま労働基準監督署に請求書を提出すれば構いません。

労災かどうかという点は、申請を受けた労働基準監督署が調査をした上で最終的に判断をしますので、会社が証明をしない限り請求できないわけではないのです。

労災申請時に会社がすでになくなってしまっているという場合も、同じように、会社がすでになくなっている旨を説明して事業主証明のないまま請求をすれば構いません。

退職を巡っては、他にこのようなことも問題になります。

退職時に有給休暇を使うために知っておきたいこと

退職金をめぐって~自己都合なのか会社都合なのか

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