退職にあたって気になることの一つとして、残った有給休暇をうまく消化できるかという問題があります。
退職前には仕事の引き継ぎなどやるべきことも多く、消化できないまま退職というケースも少なくありません。
また、中には、あるはずの有給休暇を、様々な理由をつけて使わせないという会社もあります。
ここでは退職時に有給休暇を使うために知っておきたい事柄を整理してみました。
納得がいかない、でもどうすればいいか分からない・・・そんな時は、専門家に相談することで解決の光が見えてきます。労働トラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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有給休暇とは
そもそも有給休暇とは、休日のほかに毎年一定日数の休暇を有給で保障する制度です。
働きはじめてから6か月間継続勤務し、その6ヶ月間に全労働日の8割以上出勤した場合には10日間の有給休暇が発生します。
なお、「全労働日」の意味や「出勤したこと」の意味については、こちらで詳しく解説していますのでご覧ください。
▼パートでも有給休暇はとれる
その後も1年ごとに、全労働日の8割以上出勤すると有給休暇が発生し、その日数も以下のように年々増えていきます。(20日間が上限です)
勤続年数1年6ヶ月⇒11日間
勤続年数2年6ヶ月⇒12日間
勤続年数3年6ヶ月⇒14日間
勤続年数4年6ヶ月⇒16日間
勤続年数5年6ヶ月⇒18日間
勤続年数6年6ヶ月⇒20日間
ときどき「うちでは有給休暇の制度はない」などと言って有給休暇を認めない会社がありますが、それはれっきとした法律違反です。
これまでに相談を受けたケースでも、それなりの規模の会社であるにも関わらず、有給休暇の取得を認めていないケースがあって驚かされたことがあります。
また、パートタイムで働いている場合も、週の所定労働日数の割合に応じて日数に違いはありますが、有給休暇の取得が認められます。詳しくはこちらをご覧ください。
▼パートでも有給休暇はとれる
労働基準法改正により2019年4月から、有給休暇のうち年5日については労働者に取得させることが使用者(会社)の義務となりました。詳しくはこちら▼有給休暇の取得義務化で変わること
有給休暇を使って休むために
有給休暇で休むためには、「有給休暇を使って休みます」と会社に伝えれば足り、会社の承諾を得る必要はありません。
(就業規則等で有給休暇を使って休む場合の手続きについて定めている場合はその方法に従って申し出ることになります)
どのような目的で有給休暇を利用するかはあなたの自由で、有給休暇を利用する目的を会社に言う必要もありません。仮に聞かれても、単に「私用のため」と説明すればそれで十分です。
これに対して、会社は、あなたを休ませ、かつその間の賃金を払う義務があります。
会社による変更
会社は、どうしてもその日に休まれると業務に支障が生じるという場合には、休みをとる日を別の日に変更するように求めることができます。
ただし、本来、会社は働く人が有給休暇を完全に取得することを前提として人員を配置しておかなければいけないのですから、変更が許される場合は限定されます。
また、変更を求める場合も速やかに別の日に休むことができるように配慮しなければなりません。
有給休暇取得の条件や申請方法、会社の変更権について詳しく知りたい方は、こちらもご覧ください。
▼パートでも有給休暇はとれる!条件や日数について
▼有給休暇をとれない!有休の妨害について損害賠償が命じられた例
退職と有給休暇の消費
退職するにあたって有給休暇を消化するためには、まず残っている有給休暇の日数を確認することが必要です。
先ほど有給休暇がどのような場合に何日発生するのかについて説明しましたが、これはあくまでも労働基準法が定める最低基準です。
会社によっては、これよりも労働者にとって有利な形で有給休暇制度を定めている場合がありますので、会社の就業規則を確認し、現在残っている日数を確認しましょう。
なお、ここで注意が必要なのは、有給休暇の時効の問題です。
有給休暇には2年という時効期間があり(労働基準法115条)、発生から2年が経過すると有給休暇を請求する権利は消滅してしまうのです。
したがって、例えば、勤務開始から6ヶ月後に発生した10日間の有給休暇も、使わないまま、勤務開始から2年6ヶ月が経過すると、全て時効で消滅してしまうことになります。
有給休暇の日数を確認したら、早めに、会社に対して退職前に有給休暇を使って休むことを申し出ます。
退職が決まっていることから言い出しにくいということもあるかもしれませんが、退職が決まっていても有給休暇を使って休むことに何ら問題はありません。
早めに伝えることで、スムーズに仕事の引き継ぎを行うための調整も可能になります。
なお、退職にあたって残っている有給休暇を請求する場合は、他の時季(退職日より後)に休むということはありえない以上、会社が休む日を変更するように求めることは許されません。
退職を巡ってはこんな問題もあります。
▼ボーナス支給日以前に退職した場合のボーナスはどうなるのか
その他、退職にあたって問題となる事項についてはこちらをご覧ください。
▼退職する前に知っておきたいこと
その他、退職を巡ってお困りの方は、お気軽にご相談ください。
▼名古屋の弁護士による労働相談のご案内