解雇の種類について

雇用契約を使用者の側から一方的に解約する「解雇」は、いくつかの種類に分けられます。

重要なのは、解雇の種類によって、それが有効かどうかの判断基準や観点が変わってくるという点です。

解雇された、あるいはこれから解雇されそうというときには、それがどのような種類の解雇なのかを意識することによって、今とるべき正しい行動を知ることができます。

ここでは、解雇の種類と、それぞれの解雇の有効性を判断する際のポイントについて解説していきます。

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懲戒解雇と普通解雇

まず、解雇は、大きくいって懲戒解雇と普通解雇とに分けることができます。

懲戒解雇は労働者に対する「制裁」として行われる解雇であるのに対して、普通解雇は、制裁としての側面はなく、単に雇用契約を一方的に終了させるものです。

たとえば、雇用契約と同じように継続的な関係が続く契約である賃貸借契約の場合を考えてみると、借り主が家賃を払わなかったり、禁止されたペットを持ちこんで何度注意しても改めないような場合には、貸し主の側から賃貸借契約を解除するということがありえます。

もっともこの場合も「制裁」として解除するわけではなく、単に賃貸借契約上の義務違反を理由に賃貸借契約を終了させるものですので、雇用契約でいうところの普通解雇と同列に考えることができます。

一方、貸し主に借り主を制裁する権限はありませんので、賃貸借契約において、懲戒解雇と同列に考えられるような制裁としての解除を想定することはできません。

そう考えると、使用者が労働者に対する制裁権を持つところが雇用契約の特殊な点の一つであることがわかります。その制裁の最も重い処分が懲戒解雇なのです。

このように、懲戒解雇も普通解雇も、雇用契約を一方的に使用者の側から終了させるという点では同じですが、制裁としての側面の有無からその意味合いが異なってきます。

懲戒解雇・普通解雇と労働契約法

懲戒解雇は、懲戒の一種であることから労働契約法15条の適用があります。

労働契約法15条
使用者が労働者を懲戒することができる場合において、当該懲戒が、当該懲戒に係る労働者の行為の性質及び態様その他の事情に照らして、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、当該懲戒は、無効とする。

これに対して普通解雇で主に問題となるのは労働契約法16条です。

労働契約法16条
解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

それぞれの解雇が許される具体的な判断基準については、以下の記事を見ていただければと思いますが、懲戒解雇は「制裁」であることから、これが許されるためには特別に高いハードルを超える必要がある点は覚えておいていただければと思います。
解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか
懲戒解雇理由~どんなときに懲戒解雇が許されるか

また、このように懲戒解雇と普通解雇の性質に違いがあることから、会社が当初、懲戒解雇として解雇処分を行ったにも関わらず、後になって、これを普通解雇として有効と主張することが許されるのか、という問題もあります。
懲戒解雇をあとから普通解雇にすることは許されるか?

普通解雇の一種としての整理解雇

次に、普通解雇の中に、整理解雇と呼ばれる類型の解雇があります。

整理解雇は業績の悪化による人員削減などもっぱら会社側の事情で解雇が行われるものです。

では、なぜ普通解雇の中で整理解雇を特別に分けて考えるのでしょうか。

整理解雇は、上で見たように、労働者側の事情とは無関係に行われるもので、これによって、労働者は解雇という重大な不利益を受けることになります。

したがって、その有効性は、いっそう厳格に判断されなければならないといえます。

この点は多くの裁判例でも触れられており、たとえば、人材派遣会社が待機社員に対して行った整理解雇について判断した平成23年1月25日横浜地方裁判所判決は、こう述べています。

整理解雇は、労働者の私傷病や非違行為など労働者の責めに帰すべき事由による解雇ではなく、使用者の経営上の理由による解雇であって、その有効性については、厳格に判断するのが相当である

こうした観点から、普通解雇の中でも、整理解雇については、特別に分けて考えるのです。
なお、整理解雇が許されるための具体的な条件については以下の記事を参考にして下さい。
解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか

期間の定めのない契約における解雇と、期間の定めのある契約における期間途中の解雇

最後に、解雇自体の種類とはいえませんが、もう一つの視点として、期間の定めのない雇用契約で行われる解雇と、期間の定めのある雇用契約において期間途中に行われる解雇の違いについてもとりあげます。

雇用契約は、あらかじめ雇用期間が定められた契約と、このような雇用期間の定めのない契約とに分けられますが、期間の定めのある雇用契約において、期間途中に行われる解雇は、本来予定されていた契約期間を使用者の側から一方的に短縮し終了させてしまうものです。

したがって、このような解雇の有効性はいっそう厳格に判断されなければいけません。

この点について、労働契約法17条は次のように定めています。

労働契約法17条
使用者は、期間の定めのある労働契約について、やむを得ない事由がある場合でなければ、その契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができない。

ここでいう「やむを得ない事由」とは、期間の定めのない契約において解雇が許される場合よりも、さらに限定的なものとなり、本来予定されていた契約期間を使用者の側から一方的に短縮し終了させてしまうことを認めなければならないような特別に重大な事由であることが必要です。

このように、期間の定めのある雇用契約において期間途中に行われる解雇については、特別に扱われるという点も覚えておいていただければと思います。

具体的に「やむを得ない事由」があると認められた例についてはこちらをご覧ください。
契約社員の期間途中の解雇について「やむを得ない事由」があるとされた例

なお、期間の定めのある雇用契約において、期間終了時に更新をしない「雇止め」は、解雇そのものではありませんが、一定の場合には解雇に準じて考えることになります。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
雇い止めはどのような時に許されるか

その他不当解雇されたときに知っておきたいことを以下の記事にまとめていますので、ご覧ください。
不当解雇されたときにまず知っておくべきこと

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