内定取り消しの有効性「残念ですが、あの話はなかったことに・・・」

内定取消と解雇

採用が内定してから、実際に働き始める前に、内定が取り消されてしまう「内定取り消し」の問題も、会社から一方的に関係を破棄されるという意味において、働き始めてから行われる解雇と同様の問題が生じます。

内定が出ればこれを前提に、求職活動を中止したり、前職を退職するなどの行動を取るのですから、内定取り消しを受ける側が被る不利益は大変大きいと言えます。

雇用契約は既に成立している!

「内定」というと、その語感からすると、まだ正式には雇用契約が締結される前だと思われるかもしれません。

しかし、実は、内定が出た段階で、雇用契約自体は成立しています。

つまり、法律的な観点から少し小難しくいうと、労働者の応募という契約の申し込みに対して、会社が内定という形でこれに対する承諾を行ったことによって、一定の場合には解約するという解約権の留保付きではありますが、雇用契約自体はすでに成立が認められるのです。

したがって、会社が内定を取り消すというのは、雇用契約の解約、すなわち解雇に他なりません。

留保された解約権に基づく解雇が許される場合

そこで、どのような場合に留保された解約権に基づく解約が許されるのが問題となります。

判例では、採用内定を取り消すことができる事由は

「採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できない事実であって、これを理由として採用内定を取り消すことが解約権留保の趣旨、目的に照らして客観的に合理的と認められ、社会通念上相当として是認することができるものに限られる」

としています。

例えば、採用内定時に従業員として不適格であるとの印象を持ちながらも内定を出したが、後にこの印象を打ち消す材料がなかったという理由による内定取り消しは許されません(最高裁54.7.20)。

業績の悪化などの経営上の理由による内定取り消しも基本的に許されないというべきでしょう。


内定取り消しを争う場合

採用内定を取り消すことができる事由がないにもかかわらずなされた取り消しに効力は認められません。

内定取り消しを争うという場合には、具体的には、会社に対して従業員としての地位があることを主張し、働くことのできない期間の給料を請求していくことになります。(詳しくはこちら→解雇は争いたいけれど、職場には戻りたくない?!

労働者の側から取り消す場合

では、内定を受けた労働者の側からこれを取り消すという場合はどうすればいいでしょうか。

この場合は、労働者の側からの労働契約の解約の問題ですので、2週間の予告期間を置けばいつでも自由にすることができます(民法627条)。(退職方法を考える①~辞めたくても辞められない?!~

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shita

併せて知っておきたい

・内定ではなく、内々定ではどうなるのか?
内々定の取消と損害賠償

・似たような問題として、試用期間中に本採用を拒否されるケースがあります。
試用期間と解雇~本採用の拒否が許される場合~

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