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他の仕事をしていいか
解雇の効力を争う場合、弁護士を通じた交渉等ですぐに決着が付けば良いのですが、多くの場合、解決がつくまでには一定の時間がかかります。
労働紛争については、スピードを重視して解決を目指す労働審判制度という制度もありますが(詳しくはこちら≫労働審判とはどのような手続きか)、それでも数ヶ月の期間は覚悟しておく必要があります。
また本格的な裁判になると、半年や一年といった期間が必要になります。
そこで、このように不当解雇の効力を争っている間に、別の仕事をしていいかということをよく聞かれます。
結論的にいえば、本来の職場で働きたくても会社が解雇を主張して働かせてくれないのですから、生活のために別の仕事をするということは一向に構いません。
二重に給料をもらえるか
ただし、最終的に受け取れる給料に関して注意が必要な点があります。
解雇の無効が認められた際には、それまで支払いを受けられなかった元の会社からの給料の支払いが受けられます。(その間、元の会社では働いていませんが、働けなかったのは会社が解雇を主張して働かせなかったことが原因なのですから、働いていない期間の給料ももらえるのです)
もっとも、別の仕事について給料を受け取っていたという場合には、新しい仕事で得られた給料と元の給料とを完全に二重に取得できるわけではありません。
少し理屈は難しくなりますが、解雇の効力を争っている間に別の仕事をして得た給料は、解雇の言い渡しがなければ得られなかったはずの収入です。
そのため、解雇の無効が認められ、本来の給料について支払いが命じられる際には、そこから新しい仕事によって得た給料分が差し引かれることになるのです。
例えば、元の給料が月額25万円で、解雇の言い渡し後に、生活のためにアルバイトで月額8万円稼いでいたという場合は、25万円-8万円=17万円の支払いを会社から受けることになります。
(解決に1年がかかったというのであれば、月額17万円×1年分の給料を受け取ることになります)
6割は支払いを受けられる
もっとも、この控除も無制限になされるわけではありません。
法律上、会社の責任で休業する場合は、平均賃金の6割の休業手当を支払わなければいけないとされています(労働基準法26条)。そして、無効な解雇が行われた場合もこの「会社の責任で休業する場合」にあてはまります。
そのため、新しい仕事によって得られた収入がどれだけ多くても、会社は平均賃金の6割分は必ず支払わなければならないのです。
まとめると、
- 不当解雇の無効が認められた場合には、元の会社から給料の支払いが受けられる
- その際、その間に別の仕事について給料を得ていた場合には差し引かれる
- ただし、②の控除にも限度があり、元の給料の平均賃金の6割は支払いが受けられる
ということになります。
会社が無効な解雇を主張しているせいで仕方なく他の仕事をしているのに、その給料分が控除されてしまうというのはなんとなく釈然としないかもしれませんが、裁判実務上、上記のような扱いが確立していますので、解雇の効力を争っている間に新しく仕事をする際にはこれを念頭に置いて頂く必要があります。
その他不当解雇されたときに知っておきたいことを以下の記事にまとめていますので、ご覧ください。
▼不当解雇されたときにまず知っておくべきこと
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そんなとき、今後の行動を考える上で、実際の裁判例で解雇の効力についてどのような判断されているのかを知ることは大変役立ちます。
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