労働審判手続きで話合いがまとまらないと、裁判所(労働審判体)の判断を示した労働審判が出されます。
出された労働審判の内容に不満があれば、当事者のどちらの側からも異議を申し立てることができます。
ここでは労働審判に対する異議申し立てについて、ポイントをいくつか整理して解説します。
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異議を申し立てることのできる期間について
「異議」を申し立てることのできる期間は、「審判書の送達を受けた時」または「労働審判の告知を受けた日」から2週間です。
労働審判が出される際には、その内容を記した「審判書」という書類が作成されますが、「審判書の送達を受けた時」というのは、それが届けられたときということです。
ただし、審判書が作成されない場合もあり、その場合は、労働審判手続きの期日で、口頭で告知する方法によって労働審判が出され、その効力は告知された時に生じます。
したがって、この場合、異議を申し立てることのできる期間は、「労働審判の告知を受けた日」から2週間となりますので、注意が必要です。
異議が出された後の進行
労働審判に対して異議を申し立てると、労働審判申立の時に訴訟を起こしたものとみなされ、自動的に訴訟手続きに移行します。
そのため、最初から、相手が徹底抗戦をしてくることが予想される場合には、最初から訴訟手続きを選択した方が早いということができます。
もっとも、労働審判である程度の攻防を重ねていると、訴訟手続きに移行した後も、その内容を踏まえて初期の段階から整理された進行となりますので、その意味では労働審判を経ることに意味がないわけではありません。(詳しくはこちら→労働審判とはどのような手続きか)。
異議を申し立てるかどうか
異議を申し立てるかどうかを判断するにあたっては、訴訟手続きに移行した後の見通しを考える必要があります。
労働審判は、解決までのスピードを重視した手続きですので、原則3回の期日で終了することとされ、審理もその範囲に限定されています。
その意味では、出される結論についても、一定の限界を伴ったものではあります。
しかし、一方で裁判所の一定の見方を示したものであることは間違いなく、訴訟手続きに移行した場合も、同じような判断がされる可能性は高いと考えなければいけません。
したがって、出された労働審判に不服がある場合には、なぜそのような結論に至っているのかをよく分析し、それを覆す新たな材料(証拠)や理屈立てが可能なのかをよく検討する必要があります。
あわせて知っておきたい
▼労働審判とはどのような手続きか
▼不当解雇を争うための証拠とは
▼裁判の流れを知る
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