試用期間中の解雇に解雇予告手当は不要?チェックすべきポイントを解説

解雇にあたっては、原則として、少なくとも30日前にその予告をするか、解雇予告手当(30日分以上の平均賃金)を支払うことが必要です。(労働基準法20条1項)。

しかし、働き始めて間もなく即日解雇された場合に、「試用期間中だから解雇予告手当は出さなくてもいい」と説明される場合があります。

本当に「試用期間だから解雇予告手当は不要」ということになるのでしょうか。試用期間における解雇予告について注意すべきポイントについて解説していきます。

試用期間と解雇予告手当

冒頭に書いたように、解雇にあたっては解雇予告か解雇予告手当の支払いが必要となりますが、解雇予告や解雇予告手当が不要となるいくつかの例外が法律上認められています。

そのうちの一つに「試の使用期間中の者」、つまり試用期間中の労働者が挙げられています(労働基準法21条4号)。

もっとも、これにはさらに例外があります。

試用期間中の労働者であっても、「14日を超えて引き続き使用されるに至った場合」は、原則どおり解雇予告か解雇予告手当の支払いが必要とされているのです。(労働基準法21条但書)。

つまり、「試用期間中だから解雇予告手当は出さなくてもいい」というのは不正確で、正確にいえば、「試用期間中で、かつ、14日を超えて働いてないのであれば、解雇予告や解雇予告手当は不要」ということになります。

たとえ試用期間中であっても、14日を超えて働いているのであれば、解雇予告か解雇予告手当の支払いが必要です。

解雇予告手当の請求方法については、解雇予告・解雇予告手当とは?|必要な場面・例外・請求手順で解説しています。

試用期間かどうか

本当に試用期間といえるのかというのも大事なチェックポイントです。

試用期間とは、入社後、労働者の能力、適性をみるために設けられる一定の期間のことですが、試用期間であるというためにはそのことが雇用契約の内容になっている必要があります。

「働き始め」だから試用期間というわけではないのです。

雇用契約書や労働条件通知書に記載もされておらず、就業規則にも記載がない、口頭でも説明を受けていないというような場合であれば、そもそも試用期間とは認められません。

ときどき、会社が勝手に働き始めの時期を「試用期間」と言っているだけというケースもありますので、この点も注意が必要です。

もし試用期間として認められないのであれば、原則に戻って解雇予告か解雇予告手当の支払いが必要となります。

解雇がそもそも有効か

即日解雇が行われるとどうしても「解雇予告手当も無しに解雇された・・・」という点に目が行きがちですが、大事なのは解雇がそもそも有効かです。

解雇自体が無効なのであれば、解雇予告手当の請求という話にはならず、単に給与を請求していくことになるからです。

ときどき、「試用期間だから」ということだけで、当然のように解雇が許されるように考えている会社もあります。

しかし、解雇が有効となるためには、試用期間を設けた趣旨に照らして客観的合理的理由があることや、社会通念上相当といえることが必要となるのです。

どのようなときに試用期間での解雇が許されるのかについては、本採用拒否・試用期間中の解雇は有効?裁判例でわかる判断ポイントで詳しく解説しています。

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