解雇や退職に関する相談をお受けするときに、最初に確認する項目の一つが「雇用期間の定めのある契約」なのか「雇用期間の定めのない契約」なのかという点です。
雇用期間の定めのある契約なのか、定めのない契約なのかは、大変重要な違いですが、中にはあまり意識をされずに働いている方もいらっしゃいます。
そこで、ここでは雇用期間にまつわる基本的な事項についてまとめてみました。
納得がいかない、でもどうすればいいか分からない・・・そんな時は、専門家に相談することで解決の光が見えてきます。労働トラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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雇用期間とは
雇用期間とは、雇用契約が継続する期間という意味です。
会社と労働者との間で雇用契約を結ぶ場合には、雇用契約がいつ終了するかをあらかじめ決める場合と決めない場合があります。このうち、雇用契約がいつ終了するかを決める場合に、その終了までの期間のことを雇用期間というのです。
例えば、6ヶ月後に終了するという場合は、雇用期間は6ヶ月ということになりますし、1年後に終了するという場合は、雇用期間は1年ということになります。
雇用期間の上限は原則として3年ですが、高度な専門的知識等を持つ労働者(例えば、公認会計士や医師など)や、満60歳以上の労働者については、例外的に5年とされています。
雇用期間の定めあり、雇用期間の定めなし
求人票の記載でも、「雇用期間の定めあり」「雇用期間の定めなし」という記載が出てきますが、雇用期間が決まっていれば「雇用期間の定めあり」、雇用期間が決まっていなければ「雇用期間の定めなし」ということになります。
例えば、「雇用期間の定めあり 6ヶ月」とあれば、雇用期間は6ヶ月で、雇用契約は6ヶ月後に終了します、という意味になります。
雇用期間の定めがある契約と更新
雇用期間の定めがある契約の場合、定められた雇用期間が満了すれば契約は終了するというのが最も重要な意味になります。
もっとも、ここで話がややこしくなるのですが、現実には、世の中の「雇用期間の定めのある契約」の大半は、雇用期間が満了しても終了せずに、「更新」されて継続していきます。
「更新」というのは、雇用期間が満了することによっていったん雇用契約が終了することを前提にして、再度、同じように雇用契約を結ぶことを言いますが、この更新によって、多くの雇用期間の定めのある契約が、雇用期間が満了しても終了せずに継続していくことから、冒頭で書いたように、雇用期間の定めのある契約であっても、そのことをあまり意識しないで働くようなケースも出てくるのです。そして、雇用契約の継続を期待していたにもかかわらず会社から更新を拒否される「雇い止め」の局面では、大きなトラブルにつながります。(雇い止めの問題について詳しくはこちら雇い止めはどのような時に許されるか)
働き始めるときには、雇用期間の定めがある契約の場合には、雇用期間が満了すれば契約が終了してしまうのが原則であるということをよく押さえた上で、更新の条件(原則更新かどうか、どのような場合に不更新になるのか等)についてもよく確認しておくことが必要になります。
なお、雇用期間の定めがある契約であっても、実質的には雇用期間ではなく、単なる試用期間と評価される場合もあります。
このようなケースについてはこちらをご覧ください≫雇用期間と試用期間~実質的には試用期間と評価される場合。