試用期間
会社が従業員を雇用する時には、その適性をみた上で本採用をするという試用期間を設けることが少なくありません。
試用期間が経過した際に、本採用するかどうかは、会社が自由に決められるわけではなく、本採用の拒否が許されるためには、「適性をみる」という試用期間を設けた趣旨目的に照らして「客観的に合理的理由」と「社会通念上の相当性」があることが必要となります。
この点について詳しくはこちらをご覧ください
▼試用期間終了時の解雇は許されるか
納得がいかない、でもどうすればいいか分からない・・・そんな時は、専門家に相談することで解決の光が見えてきます。労働トラブルでお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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試用期間の延長
一方、試用期間が経過した段階で、「まだ本採用は出来ない」などといって、試用期間を延長するようなケースもあります。
私が以前に扱ったケースでは、3カ月の試用期間を何度も延長し、結局1年以上にわたって「試用社員」という扱いに据え置いたという事案もありました。
このような試用期間の延長は許されるかについて見ていきたいと思います。
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就業規則に試用期間の延長についての定めがあるか
まず、就業規則で試用期間の延長について何も規定されていないというのであれば、試用期間を根拠もなく一方的に延長するなどということは認められません。
したがって、試用期間の延長が一方的に行われたという場合には、就業規則に試用期間の延長に関する定めがあるのかをまず確認してみましょう。
就業規則の意味と効力についてはこちらの記事をご覧ください。
▼就業規則の変更と周知のルールについて
就業規則に試用期間の延長についての定めがある場合
また、就業規則に試用期間の延長が定められているという場合も、全くの自由に延長が出来るというわけではありません。
例えば、就業規則に試用期間の延長が定められている場合について判断したある裁判例(昭和45年7月10日大阪高裁判決)では
「会社は、試用期間が満了した者については、不適格と認められる場合のほかは原則として社員に登用しなければならない義務がある」
と述べています。
具体的には、勤務成績不良が問題となる場合であれば、試用期間の延長が認められるのは、
① すでに社員として不適格と認められるけれどもなお本人の今後の態度いかんによっては登用してもよいという場合
あるいは
② 即時不適格とは判断できないが、適格性に疑問があって、本採用がためらわれるような相当な事由が認められる場合
のような合理的な理由がある場合に限られるとしています。
また、②の場合について、裁判所は「会社は延長期間中に、最終的に不適格と断定できないときは社員登用しなければならない」としています。
試用社員について、あたかも会社が自由にその地位を左右出来るかのように考えている会社も少なくありませんが、そうでないことをご確認いただければと思います。
試用期間に解雇された/されそうになったら・・・
どのような場合に試用期間終了時の解雇が許されるのかについてはこちらをご覧ください。
▼試用期間終了時の解雇は許されるか
▼解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~
試用社員については解雇予告手当は不要と考えている会社もありますが、間違っています。この点についてはこちらをご覧ください。
▼解雇予告や解雇予告手当が必要な場合とは?
なお、試用期間という言葉を使わずに、短い雇用期間を定めた場合にも、実質的には試用期間と評価される場合があります。この点については、こちらの記事をご覧ください。
▼雇用期間と試用期間~実質的に試用期間と評価される場合
自分から辞めて欲しいと言われている方は以下の記事を参考にしてください。
▼退職勧奨が違法となるとき~退職届を出す前に知っておきたいこと
不当な解雇がされた後の行動について知りたい方はこちらをご覧ください。
▼解雇通知書を渡されたときにまずしなければいけないこと
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