解雇予告手当の計算方法|必要日数と平均賃金の意味

解雇が行われる場合に、通常問題となるのが解雇予告手当の支払いです。

解雇予告手当がどのような場合に必要となるのかについては、こちらで解説しました。
解雇予告や解雇予告手当が必要な場合とは?

ここでは、解雇予告手当の具体的な計算方法について説明します。

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手当の具体的な計算方法

解雇をする場合には、少なくとも30日前に予告するか、または30日分以上の解雇予告手当を支払う必要があります。(この点について詳しくはこちら→解雇予告手当が必要な場合とは?

そして、必要となる解雇予告の日数は、解雇予告手当を支払った日数分だけ短縮されることになっています。

例えば9月30日をもって解雇する場合であれば、必要となる解雇予告手当は

・8月31日に解雇を告げる場合→30日前の予告なので無し
・9月10日に解雇を告げる場合→20日前の予告なので10日分
・9月20日に解雇を告げる場合→10日前の予告なので20日分
・9月30日に解雇を告げる場合→即日の解雇なので30日分

ということになります。

平均賃金の計算方法

次に、問題となるのが「解雇予告手当1日分」とは何かということですが、これは「平均賃金1日分」です。

平均賃金は、原則、以下の式で計算します。

【直前3カ月に支払われた賃金総額÷3カ月の総日数】《A》

ただし、例外として、日給・時間給・出来高払制の場合には、最低保障の観点から

【直前3ヶ月に支払われた賃金総額÷その期間中に働いた日数×60%】《B》

を下回ってはならないとされています。

つまり、《A》の金額が《B》の金額よりも低いという場合には《B》が平均賃金になります。

なお、「総日数」というのは、働いていない日も含むという意味です。

また、この計算にあたっては、賃金締切日が設けられている場合には直前の締切日から数えます。

したがって、例えば、9月10日をもって解雇ということを8月31日に告げるという場合(10日前の予告ですから、20日分の解雇予告手当が必要となります)で、給与の締め日が毎月20日であれば

・7月21日~8月20日
・6月21日~7月20日
・5月21日~6月20日

の3カ月の支払い賃金総額をみることになります。

この3ヶ月間の総日数は、92日ですので、仮に、この3ヶ月間の支払い賃金総額が73万6000円だったということであれば

73万6000円÷92日=8000円

ということで、平均賃金は8000円になります。

賃金総額に含まれるもの

注意しなければいけないのは「賃金の総額」の中には、年2回支給されるような賞与は含まれないという点です(ただし、賞与でも3か月以内ごとに支払われるような場合は含まれます)。

これに対して、残業代や役職手当などは、もちろん賃金の総額に含まれます。

こうして計算した平均賃金×必要日数で、支払われるべき解雇予告手当を計算することができます。

解雇予告手当についてさらに知る

解雇予告手当の金額はここまで説明したような形で計算することができますが、どのような場合でも当然に解雇予告手当が発生するというわけではありません。

したがって、前提として解雇予告手当を請求できる場合にあたるのかについてチェックをする必要があります。

この点について詳しくはこちらをご覧ください。
解雇予告や解雇予告手当が必要な場合とは

解雇予告を行わずに、解雇予告手当も支払わないで行う解雇のことを即時解雇と言いますが、即時解雇が許される典型的なケースは「労働者の責に帰すべき事由に基いて解雇する場合」です(労働基準法20条1項但書)。

ただし、これは、労働者に責められる点が少しでもあれば良いという意味ではありません。

予告期間を置かずに即時に解雇されてもやむを得ないといえるほど、重大な服務規律違反又は背信行為があることが必要です。

この点について詳しくはこちらをご覧ください。
即時解雇(即日解雇)が許される場合とは

また、そもそも解雇なのか自主退職なのか、ということから争いになる場合があります。これは解雇だ!と思い込んで行動しないことも大切です。
解雇と自己都合退職(自主退職)の境界~口頭で解雇されたら

解雇されてしまったという場合には

実際に解雇されてしまったという場合には、そもそもその解雇は有効かという点から検討する必要があります。

どのような場合に解雇が許されるのかについては、次の記事をご覧ください。
解雇と解雇理由~どんなときに解雇が許されるのか~
試用期間終了時の解雇は許されるか

解雇後にどう行動すればいいのかを知りたい方には、以下の記事が参考になると思います。
解雇通知書を渡されたらまず何をすべきか?

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