試用期間の延長は許されるのか




試用期間

会社が従業員を雇用する時には、その適性をみた上で本採用をするという試用期間を設けることが少なくありません。

試用期間が経過した際に、本採用するかどうかは、会社が自由に決められるわけではなく、本採用の拒否が許されるためには、「適性をみる」という試用期間を設けた趣旨目的に照らして「客観的に合理的理由」と「社会通念上の相当性」があることが必要となります。

(詳しくはこちら→試用期間と解雇~本採用されずにクビ?!)

試用期間の延長

一方、試用期間が経過した段階で、「まだ本採用は出来ない」などといって、試用期間を延長するようなケースもあります。

私が扱ったケースでは、3カ月の試用期間を何度も延長し、結局1年以上にわたって「試用社員」という扱いに据え置いたという事案もありました。

このような試用期間の延長は許されるかについて見ていきたいと思います。

就業規則に試用期間の延長についての定めがあるか

まず、就業規則で試用期間の延長について何も規定されていないというのであれば、試用期間を根拠もなく一方的に延長するなどということは認められません。

したがって、試用期間の延長が一方的に行われたという場合には、就業規則に試用期間の延長に関する定めがあるのかをまず確認してみましょう。(ちなみに就業規則を巡ってはこういう点も問題になります→労働者に知らされていない就業規則に効力は認められるか?

就業規則に試用期間の延長についての定めがある場合

また、就業規則に試用期間の延長が定められているという場合も、全くの自由に延長が出来るというわけではありません。

就業規則に試用期間の延長が定められている場合について判断した昭和45年7月10日大阪高裁判決は

「会社は、試用期間が満了した者については、不適格と認められる場合のほかは原則として社員に登用しなければならない義務がある」

と述べています。

具体的には、勤務成績不良が問題となる場合であれば、試用期間の延長が認められるのは、

① すでに社員として不適格と認められるけれどもなお本人の今後の態度いかんによっては登用してもよいという場合

あるいは

② 即時不適格とは判断できないが、適格性に疑問があって、本採用がためらわれるような相当な事由が認められる場合

のような合理的な理由がある場合に限られるとしています。

また、②の場合について、裁判所は「会社は延長期間中に、最終的に不適格と断定できないときは社員登用しなければならない」としています。

試用社員について、会社があたかも自由にその地位を左右出来るかのように考えている会社も少なくありませんが、そうでないことをご確認いただければと思います。

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