業務指示に従わないことを理由になされた解雇が有効と判断された事例

基本情報

1 判決日と裁判所
 ・平成31年3月19日
 ・横浜地裁

2 判決結果
 ・解雇有効

3 解雇の種類と解雇理由
 ・普通解雇
 ・業務命令違反

4 当事者に関する事情
【事業内容】
 企業内教育研修に関する企画・立案及びコンサルティング等
【雇用形態】
 正社員
【職  種】
 事務・管理
【職務内容等】
 技能訓練校において年間スケジュール作成業務及び訓練・行事の運営のサポート業務等

問題となった労働者の行為等

・校長から指示されたマーシャリング作業(部品仕分作業)を1年間にわたり行わなかった。

・本件業務指示に従わないことを理由にまず譴責処分、後に出勤停止処分を受け、その後に解雇された。

裁判所の評価・判断

(1)業務指示の有効性

・(本件業務指示は、いじめ・嫌がらせ目的の業務指示であり、業務命令は無効であるとの原告の主張に対して)本件業務指示は業務上の必要性もあり、手段も相当であるから、懲罰目的またはいじめ・嫌がらせ目的であるとは認められず、有効である。

(2)解雇の客観的合理的理由について

・原告が、本件業務指示に従わなかったことは、会社業務の運営を妨げ、または著しく協力しないといえるとともに、正当な理由なく、約1年にわたって上長の指揮命令である本件業務指示に従わず、その情状が特に重いと言えるから、就業規則上の解雇事由に該当する。

・(マーシャリング作業を行わなったことにより大きな支障は生じていないという原告の主張に対し)1年以上にわたって本件業務指示に従わずに業務を行っておらず、被告における企業秩序が著しく乱されており、支障が生じていないとは言えない。

・(同種行為を行わないと確約しており、改善の余地があるという原告の主張に対して)1年以上も本件業務指示を拒否し続け、その間譴責処分及び出勤停止処分を受けているにもかかわらず、依然として本件業務指示に従わないでいたことからすれば、労働契約の継続は困難な状態にあった。

・(他の部署に異動させることにより解雇を回避できたとの原告の主張に対して)有効な本件業務指示を拒否する原告の希望通りに移動を許せば、企業秩序を維持することはできないし、被告は2度にわたって懲戒処分を行っており、解雇回避努力を尽くしていると評価できる。

・以上によれば、本件解雇には客観的合理的理由が認められる。

(3)解雇の社会的相当性について

・原告が法廷で本件メールの送信行為について反省の弁を述べていること、本件譴責処分を受けるまで約30年、懲戒処分歴なく勤務を継続してきたこと、解雇当時51歳で再就職が困難な年齢であることを考慮しても、原告が懲戒処分を2回受けても、有効な本件業務指示に従わないとい強固な姿勢を示しており、企業秩序を著しく乱していることからすれば、本件解雇は社会通念上相当ではないとは認められない。

・以上より、本件解雇は有効である。

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