「どうすればいいか分からない」から「次に何をすべきかが分かる」へ
弁護士として労働相談をお受けしていて多いのは、やはり解雇や退職を巡るトラブルです。「突然解雇されてしまった」「これからどうすれば良いか分からない」そんな相談が数多く寄せられます。
幸いなことに、今は、インターネットの発達により専門的な情報でも簡単に手に入れることができるようになりました。解雇の問題に関しても、様々なサイトが情報発信を行っており、解雇に対処するために必要な情報を入手することができます。
もっとも、残念ながら、こうした情報の中には不正確な情報も紛れこんでいます。
また、断片的な知識に基づいて行動することで、かえって不利益となる結果をもたらしているケースも少なくありません。様々な情報に触れることで、「何を信じればいいか分からない」「どうすればいいか分からない」という状態となっている方もいます。
そこで、ここでは、解雇を告げられた方を念頭において、「何をどうしていいか分からない」状態から、「次に何をすべきかが分かる」状態になることを目標に、知っておいて頂きたい基礎知識を整理してみました。
「解雇を告げられた方を念頭に」と書きましたが、もちろん「解雇されそう」という方にとっても、解雇後にどういう展開になるのかを知るという意味で役立つ内容です。
また、各種の相談機関や弁護士に相談するときには、予め基本的な知識を持っておくことが有益です。予備知識が全くないと、アドバイスを受けても、その意味をきちんと理解して、行動に生かすことは困難だからです。
その意味では、これから各種の相談機関や弁護士に相談することを考えているという方にとっても役立つ内容だと思います。
内容と構成
この記事は、大きく4つのパートに分かれています。
まず第1章では、解雇に関する基本的な法制度と用語について押さえます。今後の行動を考える上で大前提となる知識を正確に理解して頂きます。
第2章では、解雇が許される基準について解説していきます。解雇に対してどう対処すべきかを考える上で、分かれ道となる大事な部分です。
第3章では、不当な解雇に対して何が出来るのかを見ていきます。今後の行動を考える上では、まず選択肢として何があるのかを知る必要があります。
第4章では、解雇後にすべき行動とすべきでない行動を具体的にとりあげます。知識なく行動することによって、思わぬ不利益を受けることもあります。予備知識をもって、今後の行動に備えましょう。
生きるための武器を手に入れる
多くの人は、自分が解雇に直面することになるとは夢にも思わずに暮らしてこられたと思います。また、解雇に対してどう対処すべきかということは、生きる上で大切な知識であるにも関わらず、これを学ぶ機会もほとんどありません。
しかし、恐れる必要はありません。正確な知識を身につけ、一歩を踏み出す勇気をもって臨めば、きっと壁は乗り越えられます。
「生きるための武器を手に入れる」そんな意識でお読み頂き、役立てて頂ければと思います。
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