うつ病による欠勤等を理由とする普通解雇が有効と認められた事例

基本情報

1 判決日と裁判所
 ・令和元年6月4日
 ・大阪地裁

2 判決結果
 ・解雇有効

3 解雇の種類と解雇理由
 ・普通解雇
 ・病気・怪我による就労不能

4 当事者に関する事情
【事業内容】
 新車販売等
【雇用形態】
 期間雇用社員
【職  種】
 事務・管理
【職務内容等】
 事務職

問題とされた労働者の行為等

・原告は、うつ病の診断を受けた後、3ヶ月以上欠勤し、その後1年4ヶ月にわたり休職した。

・復職後、1年2ヶ月が経過した頃から週4日以上のペースで欠勤を続けるようになり、その後、出勤する日もあったが頻繁に早退を重ねた。

・復職から約1年10ヶ月が経過した平成28年7月以降は、7月に2回出勤(いずれも早退)、8月に1回(早退)、9月に1回(早退)出勤したのみで、9月14日以降は一切出勤しなかった。(同年10月10日に解雇予告され、同年11月15日付解雇)

裁判所の判断

・欠勤理由が、原告や子どもの体調不良のみならず、子どものキャンプあるいはキャンプに備えて休むといった用事、猫の葬儀、親族の用事等の、労務の提供を行わない理由としてやむを得ないものと判断しかねる理由も見受けられる点も併せ鑑みれば、遅くとも平成28年7月後半以降、原告は労務を提供する意思と能力を欠く状況にあったことは明らかである。

・被告会社が、原告の復職に際して、原告を保険業務課に配属し、始業時刻を午前10時とする特例措置を行っていることも併せ鑑みれば、原告の勤怠状況は、解雇事由である「精神又は身体の障害によって業務に耐えられないと認められ、かつ、他部署への配置転換が困難な場合」等に該当し、また、解雇を行う「やむを得ない事由」があると言える。

・よって本件解雇は有効。

・(なお、原告は、うつ病が上司のセクハラ行為等に起因するものである旨の主張を行ったが、裁判所は、うつ病の発病ないし悪化が原告の業務に起因したものとは認められないと判断)

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