取引先会社の従業員に対するセクハラ行為を理由とする懲戒解雇が有効と判断された事例

【判決日 】 平成31年2月7日
【裁判所 】 大阪地裁
【解雇種類】 懲戒解雇
【判決結果】 解雇有効
【雇用形態】 正社員
【職種  】 技能工・設備・交通・運輸
【解雇理由】 セクハラ・パワハラ

事案の概要

原告は、運送業を営む会社において勤務していたが、集荷先企業の女性従業員をその意に反して突然抱きしめ、左胸を触るという故意があったとして、懲戒解雇された。原告は、女性の身体には一切触れていないと主張し、懲戒解雇の効力を争って提訴した。

会社が主張した就業規則上の懲戒事由は以下のとおり。

・セクシュアル・ハラスメントの問題により個人及び会社の名誉を傷つけたとき。
・社員としての体面を汚したとき。
・故意または重大な過失によって会社に損害を与えまたは会社の信用を失墜させたとき。
・その他前各号に準ずる程度の不都合な行為があったとき。

裁判所の判断

(1)被害を申告した女性および原告の供述の信用性について

  • 一般的見地に照らすと、被害を申告した女性が、示談金を詐取する動機に基づいて、勤務先の取引相手に対して、虚偽の診断書を取得した上で、セクハラ行為について虚偽の申告をしたものとは考えがたく、原告に対する個人的な怨恨から虚偽の供述を行う動機も見当たらない。
  • 供述内容をみても、抱き締められた、胸を触られたという行為の存在自体は具体的に供述されている。
  • 加えて、被害を申告した女性が鬱状態であるとの診断を受け、出勤できていないこと等にも照らすと、その供述内容は、反対尋問を経ていないとはいえ、十分に信用することができる。
  • (女性の身体に一切触れていないとする)原告の供述は、複数回変遷している上、そのことについて合理的な説明がなされているとはいえない。むしろ、行為の重要部分を否認しつつ、自らの供述内容を女性の供述内容に近づけることによって、自らの供述の信用性を高めようと試みたと考えることができる。
  • 加えて、原告において、女性と300万円を上限として示談を希望する旨の書面を作成したことが原告の供述内容と客観的には整合しないことにも照らすと、原告の供述内容に信用性はない。

(2)懲戒解雇の効力

  • 女性に対して、その意に反して身体を抱きしめ左胸を触る行為は、被告が主張する就業規則上の懲戒事由に該当する。そして、行為の性質や内容に照らすと、本件懲戒解雇が不当に重いものとはいえない。
  • よって、本件懲戒解雇は有効である。

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