就業規則を無断で撮影してはいけない!?

持ち出し厳禁といわれているのですが・・・

様々な労働トラブルについて解決の道を探る上では、会社の就業規則をきちんと検討することが必要です。

(参考
解雇事由・懲戒事由を確認するためにまずは就業規則を読む!
出向命令を拒否できる場合、できない場合

したがって、私のところに相談に来られる方には、「会社の就業規則の写しがあったら、持ってきて下さい」といつもお願いしています。

ところが、時々「持ち出し厳禁と言われているのですが良いでしょうか」と相談者に聞かれることがあります。

周知義務のある職場のルール

本来就業規則は、それが有効となるためには労働者に対して周知をさせなければならないものです。
(参考⇒労働者に知らされていない就業規則に効力は認められるか?

そのルールをきちんと検討するために写しをとる行為が責められるいわれは全くないのですが、会社から強く言われると不安を感じてしまう相談者もいらっしゃるのだと思います。

そこで、就業規則をカメラで撮影した行為について触れられた裁判例(大阪地裁平成26年10月10日)をご紹介したいと思います。

この事案は、バスの運転手に対して行われた自宅謹慎処分や懲戒解雇処分が争われた事件ですが、その中で会社側が、労働者が就業規則を無断で写真撮影した上で外部に持ち出した行為を問題として、これを懲戒処分の理由に挙げたのです。

これに対して裁判所は、

①就業規則は,使用者が労働者に対し周知させなければならないものとされており(労働基準法106条1項),労働者がこれをデジタルカメラで撮影したとしても,違法な行為とはいえない。

②労働者が就業規則の撮影データを提供した相手は,本件労働審判の申立てを委任した弁護士であるから,その提供行為も,何ら企業秩序に違反するものと評価することはできない。

③したがって,労働者の行為は,何らの懲戒事由にもあたらないというべきである。

と判断しました。

極めて当然というほかない判断ですが、このような行為が問題視されるいわれは全くないということをご理解頂ければと思います。

(こちらもご参照ください⇒労働基準監督署への申告・相談と不利益取り扱いの禁止

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併せて知っておきたい

懲戒解雇と退職金の不支給~その就業規則は有効か?

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