解雇日の特定~それは本当に「解雇予告」にあたるのか?

解雇予告はあったか

30日以上前に解雇予告をしている場合には、解雇予告手当を支払う必要はありません。

一方、そのような解雇予告を行っていない場合には、解雇の際に、原則として解雇予告手当を支払う必要が生じます。

(詳しくはこちら⇒解雇と解雇予告手当

そのため、解雇予告手当の支払い義務の有無をめぐって、「そもそも事前の解雇予告があったのかどうか」が争われる場合があります。

解雇の日の特定

このような事案で「解雇予告をする際には解雇の日が特定されていなければいけない」という点を指摘して、会社が主張する「予告」は解雇予告に該当しないと判断した裁判例として、平成16年5月28日東京地裁判決を紹介します。

これは、従業員が即時解雇されたとして解雇予告手当の支払いを求めたのに対して、会社側が、その2カ月以上も前に「勤務態度が改善されない場合は辞めてもらう」旨の最後通告をし、解雇予告していたのだから、解雇予告手当の支払い義務はないと主張して争った事例です。

裁判所は

解雇予告制度は、使用者の解雇の意思を事前に労働者に明示させて労働者に退職後の準備をさせる趣旨から設けられたものであるから、「予告」は、いつ解雇されるのかが明確に認識できるように解雇の日を特定して予告しなければならない

と指摘しました。

その上で、会社が主張している「予告」は、具体的な退職日を特定して通告したものではないから、労働基準法20条1項の解雇予告に該当せず、会社は解雇予告手当を支払わなければならないと結論づけています。

解雇予告の正確な理解を

当然といえば当然のことですが、解雇の可能性を通告していただけでは「予告」にはなりえないのです。「解雇予告」の正確な理解が広まる必要性を感じる事案です。

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併せて知っておきたい

解雇と解雇予告手当

解雇予告手当の計算方法

残業代請求~弁護士が教える残業代請求のポイント~時効から残業時間の証明方法まで


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